文藝同人誌の最前線 〜ブンガクの未来〜

文学に未来はあるか。
いま私が考えている大きな問いだ。未来とは何年くらい先をイメージするのか。
また文学の概念とは現在の「純文学」のことを指すのか。
そのような問いを自ら発しながらも疑問や答えに窮することは多々あるが、
今回から「文芸同人誌の最前線」と謳って、同人誌のなかで目についた作品をネット上でとりあげようと思う。


■ 第16回 2019年12月

 10月の全国同人雑誌会議の様子は東京新聞でも報じられたが、11月29日には東京・世田谷文学館で同館友の会主催による「同人雑誌の時代」という講演会が開催された。同館館長で東大名誉教授、文芸評論家の菅野昭正が講師で、近代文学史をひも解きながら、過去の輝かしい同人雑誌時代を紹介。、また戦後自分が丸谷才一、篠田一士と関わった『秩序』の役割を分析、また現状の文学衰退状況についての話だった。
 同人誌の現状は、私もあらゆる機会に警鐘を鳴らし、再生の提案を語ってきた。
 その一環として、今回は「読書会」の必要性について簡単に述べる。
 読書会は古今東西の文学作品を読む方法や、ひとりの作家に特化して作品を読む方法など、会の組織や進め方はさまざまである。
 私は30年以上「ドストエーフスキイ全作品を読む会」(通称読書会)に関わっている。
 同人誌の中には合評会のほかに読書会を開催している誌もある。すばらしいことだと思う。主宰者に負担をかけるのではなく、読書会担当をおき、みながひとつの作品を読んできて、感想を述べあうのである。
 多くの人の感想を聞くことにより、自分の読みも深まり、また変化していく。
 文学の素養を身につけるにはよい。読書会の勧めを提案したい。

 類ちゑ子「散歩」(「ふたり」22号)。何気ない日常のなかの不穏がみごと。家庭の主婦が犬の散歩に出かけるがラストの呟くようなひと言が効いて、小説として成立している。
 白石すみほ「蛇(カカ)の目」(ふたり)22号)は、作者が得意とする伝説や伝承を基に土俗性をベースにおく。湖、沼、池など水のモチーフがすぐれており、幻想的なミステリとしての可能性も示す。

 次回2020年1月か2月のこのコーナーでは、2019年に読んだ同人雑誌作品のなかで、私が選んだ年間ベストを発表していきたい。あくまでも私が選んだ作品なので、手元に届かない雑誌もあり偏りが生じるかもしれないが、乞うご期待。 よい年をお迎えください。


 【お知らせ】
 本欄は私が寄稿している全作家協会の「全作家」の「文芸時評」とは別である。同誌のコンセンプトはなるべく広く、をキーワードにしている。また本欄では特筆すべき何かを内包する作品を中心に少数精鋭で取り上げる。同人雑誌をお送りいただける方には、私どもの事務所に「お問い合わせフォーム」でコンタクトをとってほしい。掲載はご希望にそえないこともあるのでご了承いただきたい。


                                                           (了)

 

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